銀河系の中心領域(銀中)は銀河系内で最も特異な領域であると同時に、我々から最も近傍にある銀河の中心であり、一般の銀河中心核およびその近傍で起こる種々の活動現象をつぶさに観察する事ができる唯一の天体です。近年の詳細な観測結果により、銀河系中心核Sgr A*における巨大ブラックホールの存在は益々確実性を増してきており、短時間強度変動の準周期性からブラックホールの性質に迫る可能性まで見えてきています。また、現在は著しく活動性が低いSgr A*について過去の激しい活動性を示唆する観測事実が積み上げられてきており、中心核ブラックホールの形成・成長に寄与するとされる高密度星団の間接的検出も報告されています。加えて、2014年春にSgr A*への最接近が予報されているG2雲の潮汐破壊により、中心核への質量降着率の増加が見込まれ、再び中心核活動がtriggerされる可能性が指摘されています。
本ワークショップでは、この銀河系中心領域および活動銀河核の研究に携わる国内の研究者が参集し、間もなく本格運用が開始される大型電波観測装置ALMAによる観測研究を軸に、今後の銀河中心研究の方向性について包括的な議論を行う事を目的とします。ALMAによってもたらされる比類無き集光力と空間分解能によって、特にG2雲の落下に代表される中心核への間欠的質量降着過程と、それに伴う種々の活動現象の本質に迫る事が期待されます。ワークショップでは、Sgr A*のみならず中心分子層(CMZ)、および一般の銀河中心で見られる広範な現象を対象とし、電波を始めとするあらゆる波長帯の観測研究、および種々のアプローチによる理論研究の最新成果について活発な情報交換を行い、当該分野の問題意識の共有を目指します。
本ワークショップは、国立天文台チリ観測所のALMA Workshop 経費の支援を受けて開催します。財源が限られてはおりますが、講演者への旅費補助を考えております。一般相対論や素粒子論など、関連する物理分野の研究者の参加も歓迎いたします。また、若手研究者・大学院生の研究発表(ポスター発表可)も大いに歓迎いたしますので、奮ってご参加下さい。
[ワークショップ世話人]
岡朋治(慶應義塾大)、坪井昌人(JAXA/ISAS)、福井康雄(名古屋大)、鶴剛(京都大)、
西山正吾(国立天文台)、三好真(国立天文台)、高橋真聡(愛知教育大)
岡朋治(慶應義塾大)、坪井昌人(JAXA/ISAS)、福井康雄(名古屋大)、鶴剛(京都大)、
西山正吾(国立天文台)、三好真(国立天文台)、高橋真聡(愛知教育大)